大規模ローコード基幹システム更改における横断PMO支援
複数のサブシステムを統合する大規模な基幹システム更改において、新技術・ローコード開発を採用しながら、開発と維持保守を並行して推進する必要がありました。INTPMは、各チームに分散していた管理情報を横断的に整理し、予兆検知と会議運営の高度化を支援しました。リスクの早期把握と意思決定の質向上につながるプロジェクト運営基盤の整備に貢献しました。
背景・課題
クライアントが抱えていた状況
クライアントは、既存の複数サブシステムを統合する基幹システム更改に取り組んでいました。ServiceNowを活用した大規模なローコード開発であり、会計・計画系、情報分析基盤、外部クラウドサービス連携など、技術・業務の両面で高い難度を伴うプロジェクトです。加えて、開発フェーズと維持保守業務が並行して進むため、運用イベントや障害対応への即応と、中期的な開発計画の両立が求められました。
主な課題
- 開発体制が大規模かつ多層構造で、各階層に求められる情報粒度が異なっていた
- 管理簿が複数に分かれ、全体状況を俯瞰しにくかった
- 開発と維持保守の優先度差により、リソース調整やリスク対応が後手に回る恐れがあった
- 一部チームの遅延や対応滞留が、他チームの計画や全体マイルストーンに影響しやすかった
改善プロセス・アプローチ
INTPMは、まず分散していた管理情報を集約し、各層の意思決定に必要な粒度へ整理しました。横断型の管理ダッシュボードを整備し、そこから読み取れる兆候を仮説として会議で検証するPDCAサイクルを構築しました。あわせて、会議運営の見直しやチームマネジメント課題の可視化を進め、プロジェクト全体のマネジメント品質向上につなげました。
管理情報の集約と横断型ダッシュボードの整備
立場ごとに必要な情報粒度を踏まえた可視化
各チームが個別に管理していた情報を集約し、プロジェクト全体を俯瞰できる管理ダッシュボードを整備しました。トップ層には直近で注視すべき領域を把握できるヒートマップ、リーダー層にはチーム別の注視ポイントや他チーム比較、メンバー層にはエスカレーション対象となる具体タスクを提示しました。立場ごとに必要な情報粒度を分けることで、同じ情報基盤から全体判断、チーム運営、個別対応へつなげられる状態を整えました。
予兆検知プロセスの設計・定着
仮説構築、会議検証、改善を回すPDCAサイクル
可視化した情報をもとに、進捗が順調に見えても工数実績が不自然に少ない、対応が長期化している、課題未登録のまま作業が停滞しているといった兆候を抽出しました。抽出した兆候は会議で現場状況と照合し、リスク仮説の妥当性を検証しました。検証結果を踏まえ、対応サイクルのスピードや遅延傾向の推移など、追加で確認すべき観点を取り込みながら、予兆検知の精度を継続的に高めました。
会議運営と意思決定プロセスの高度化
報告の場から、重要課題を議論する場へ
従来の会議は、各チームの状況報告を受けながら、その場で課題を拾う運営になりやすい傾向がありました。INTPMは、事前に可視化情報から注視ポイントを整理し、会議では重要課題に絞って報告・議論できるよう運営を見直しました。これにより、PMOは単なる司会進行に留まらず、予兆に基づいて課題を提起し、関係チームの連携や対策検討を促す役割を担える状態となりました。
チームマネジメント課題の可視化と改善定着
リソース調整・管理簿更新・計画再調整への展開
予兆検知の結果を会議で検証することで、維持・開発のリソース調整、管理簿の最新化、チーム全体の計画再調整といった、個別トラブルの背後にあるマネジメント課題を明らかにしました。複数の管理領域を横並びで確認し、毎週確認すべき情報や、エスカレーションのタイミングを見直すことで、チームごとの管理行動の改善と定着につなげました。
成果
分散していた情報を一元化し、予兆の発見、リスク判断、関係者への共有を進めやすい状態を整えました。会議では重要課題に絞った議論が可能となり、プロジェクト運営は「起きた問題に対応する」状態から「顕在化前に兆候を捉えて手を打つ」状態へ変化しました。さらに、管理情報の粒度と会議体の運営ルールを整理することで、複数チームが同時に動く環境でも、計画的にリスクを検知・共有できる基盤を構築しました。
定量的な成果
会議時間の短縮と論点の明確化
進捗会議は、従来3.0時間かかり延長も多発していた状態から、現状2.0時間で時間超過がほぼ発生しない運営へ改善しました。事前に重要課題を絞り込むことで、報告時間を短縮しながら、対策検討や関係チームとの連携に時間を充てられるようになりました。また、分散していた情報を横断的に確認できるようになり、リスク判断の前倒しと会議での論点明確化に寄与しました。
定性的な成果
予兆管理の定着とマネジメント品質の向上
トップ層はプロジェクト全体の注視領域を俯瞰し、リーダー層は自チームと他チームの状況を比較し、メンバー層は自分のタスクの重要性や影響度を把握しやすくなりました。リーダー層からは、報告観点の明確化による資料作成負荷の軽減、他チームとの課題突合のしやすさ、第三者視点による立ち位置の把握、管理工数削減と対応迅速化につながった点が評価されました。結果として、予兆管理がプロジェクト運営の当たり前として定着し、マネジメント行動の変革と全体最適に結びつきました。